ICT/SMC の全体像をつかもう
ICT/SMC を学び始めると、最初にぶつかるのが「用語が多すぎて何から手をつければいいか分からない」という壁です。
この記事では、まず全体像を俯瞰し、「何を」「どの順番で」学べばいいかを整理します。
細かい定義や手順は記事2以降で扱うので、ここでは「地図を広げて眺める」くらいの気持ちで読んでください。
ベア実ちゃん


【事実】
本記事は FX/CFD(主に GOLD・XAUUSD)の学習を目的とした情報提供であり、特定の金融商品の売買を推奨・助言するものではありません。
著者(りづむ)は ICT Mentorship 2022/2024 の公式 YouTube 動画を主要ソースとし、独自の検証を加えて執筆しています。
投資判断はすべてご自身の責任でお願いいたします。
【りづむより】
ぼく自身もまだ検証と改善を続けている途中です。
「こう見ている人もいるんだな」くらいの距離感で読んでいただけると、お互い気持ちよく学べると思います。
今回のテーマ: ICT/SMC の全体像と学ぶ順番の整理。
3本柱(市場構造・流動性・PD Array)の関係性と、本シリーズの学習ロードマップを示します。
【対象】
FX/CFD の ICT/SMC に興味があり、基礎を固めたい方。
【範囲】
本シリーズでは GOLD(XAUUSD)を主な題材とし、時間足は日足(バイアス)→ 15分足(構造の羅針盤)→ 2分足(執行)の三層で統一しています。
各記事の個別の範囲は冒頭(今回のテーマ)をご確認ください。
【りづむより】
「自分の銘柄・時間足に置き換えたらどうなるか?」を意識しながら読むと、応用が利きやすくなります。
ICT/SMC とは何か
ICT(Inner Circle Trader)
ICT は、トレーダーの Michael J. Huddleston 氏が YouTube 上で公開している教育体系です。
市場構造、流動性、価格反応点、時間帯といった概念を組み合わせ、「なぜその価格帯で反応が起きやすいのか」を構造的に観察するフレームワークを提供しています。
ICT の特徴は、概念の定義だけでなく、時間帯ごとの値動きの傾向や具体的な観察手順まで体系化されている点にあります。
本シリーズでは ICT Mentorship 2022/2024 の公式 YouTube 動画を主要ソースとしています。
SMC(Smart Money Concepts)
SMC は、ICT の概念をベースにコミュニティが発展させた総称です。
ICT が「教材パッケージ」だとすれば、SMC は「その教材から派生した共通言語」のようなものです。
用語の呼び方に違いが生じることがありますが(例: ICT の MSS を SMC では CHoCH と呼ぶ)、チャート上で観察している現象は共通しています。
【注意】
ICT/SMC の用語は、発信者やコミュニティによって呼び方が異なる場合があります。
本シリーズでは ICT Mentorship(公式 YouTube)で使われる用語を基準にしています。
SMC コミュニティで広まった別名(例: CHoCH → ICT では MSS)は、初出時に「SMC では〇〇とも呼ばれます」と注記し、以降は ICT 準拠の用語で統一します。
【りづむより】
名前が違っても、チャート上で観察している現象は同じです。
用語の暗記より「なぜその場所で価格が反応するのか」に集中するほうが、長い目で見て利益に直結します。
「価格は操作されている」のか?
ICT/SMC の文脈で「価格操作」という言葉を目にすることがあります。
これは陰謀論ではなく、「大口の注文が集中しやすい場所で、価格が反応しやすい」という観察に基づいた表現です。
たとえば、多くの個人トレーダーがストップロスを置きやすい価格帯(直近の高値・安値の少し外側)に大きな注文がぶつかれば、一時的に価格が急動します。
ICT はこの現象を「Liquidity Sweep(流動性の掃き出し)」と呼び、構造的に観察する対象としています。
本シリーズでも、「操作されているから勝てない」ではなく、「注文が集中しやすい場所を先に把握することで、価格の動きを読みやすくする」という実用的な視点で扱います。






ICT/SMC の3本柱とその関係
記事0(HUB)で紹介した3本柱を、ここではもう少し掘り下げて「なぜこの順番で学ぶのか」を説明します。
柱① 市場構造(Market Structure)── まず方向を決める
高値・安値の更新パターンから、「いま買い手と売り手のどちらが主導権を握っているか」を判定します。
具体的には、スイング構造の破壊(BOS)と内部構造の転換(MSS)を区別します。
市場構造が最初に来る理由は、方向が定まらないままエントリーポイントを探しても、逆方向に巻き込まれるリスクが高いからです。
ICT は「まず日足でバイアスを決めろ」と繰り返し強調しています。
柱② 流動性(Liquidity)── 次に「どこに引き寄せられるか」を見る
市場構造で方向が見えたら、次に「価格がどこに向かいやすいか」を観察します。
それが流動性(BSL / SSL)です。
ストップロスが集中している価格帯は、大きな注文がぶつかる「磁石」のような存在です。
流動性の掃き出し(Liquidity Sweep)を確認してから次のステップに進むことで、「ダマシ」に巻き込まれるリスクを減らせます。
柱③ PD Array(価格反応点)── 最後に「どこで入るか」を絞る
方向(市場構造)と目的地(流動性)が定まったら、最後に「どの価格帯でエントリーを検討するか」を絞ります。
代表的なものがオーダーブロック(OB)とフェアバリューギャップ(FVG)です。
PD Array を最後にする理由は、構造と流動性の文脈がなければ、OB や FVG はチャート上に無数に存在し、どれが有効か判断できないからです。
PD は Premium and Discount(プレミアム&ディスカウント)の略です。
価格帯を「割高ゾーン(Premium)」と「割安ゾーン(Discount)」に分け、 その中で反応しやすいポイント(FVG・OB など)を総称して PD Array と呼びます。
一部で「Price Delivery」(価格配送を意味)の略とする解説が見られますが、 ICT 公式動画(2022 Mentorship)では Premium and Discount Array と明言されています。






3本柱の関係をまとめると
| 順番 | 柱 | 問い | 答えの例(GOLD デイトレ) |
|---|---|---|---|
| ① | 市場構造 | いま、どっちの方向? | 日足で BOS が上方向 → 買いバイアス |
| ② | 流動性 | 価格はどこに引き寄せられている? | 直近高値の上に BSL が溜まっている |
| ③ | PD Array | どこで入る? | 15分足の FVG に引きつけてロング検討 |
3本柱を貫く横串:時間帯(Kill Zone)
ICT は「Time is more important than price(時間は価格より重要だ)」と述べています。
どれだけ良い構造・流動性・PD Array が揃っていても、動きが出にくい時間帯にエントリーすれば効率が悪くなります。
ICT が重視する主な時間帯(キルゾーン)は以下のとおりです。
| キルゾーン | NY時間 | 日本時間(冬時間) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ロンドン | 02:00〜05:00 | 16:00〜19:00 | 欧州勢の参入で方向性が出やすい |
| NY AM | 08:30〜11:00 | 22:30〜翌01:00 | 指標発表と重なり、最も流動性が高い |
| NY PM | 13:30〜16:00 | 翌03:30〜06:00 | 午前の動きの調整や延長が起きやすい |
時間帯の詳細は記事5で扱いますが、「3本柱の判断は、キルゾーンの中で行うのが基本」という原則だけ、ここで押さえておいてください。
本シリーズの時間足セット
ICT Mentorship では「上位足でバイアスを決め、下位足で執行する」という階層構造が一貫しています。
本シリーズでは、GOLD デイトレードに最適化した以下の三層を採用しています。
| レイヤー | 時間足 | 役割 | ICT との対応 |
|---|---|---|---|
| バイアス | 日足(補助: 4時間足) | 方向を決める。日足に逆らわない | Weekly → Daily → 1H |
| 構造の羅針盤 | 15分足 | MSS / BOS を確認し、FVG 候補を探す | 15m |
| 執行 | 2分足 | FVG への到達を待ち、精密にエントリー | 1〜3m |
ICT は Mentorship 2022 で「1分・2分・3分足が不均衡(FVG)を見つけるのに最適」と述べています。
本シリーズで2分足を採用する理由は、1分足より価格ノイズが少なく、3分足より早くシグナルを捉えられるバランスの良さにあります。






【注意】
GOLD(XAUUSD)は主要通貨ペアに比べてスプレッドが広く、ボラティリティが大きい銘柄です。
FX/CFD には元本を超える損失が生じるリスクがあり、スプレッド拡大やスリッページにより想定外の約定になる場合があります。
【りづむより】
検証段階では必ずデモ口座または最小ロットで試してください。
「再現できた」と確信を持てるまでロットを上げないのが、資金を守る最短ルートです。
ミニ具体例:GOLD(XAUUSD)で3本柱を通して見る
ここでは、3本柱を使った観察の流れをごく簡単に体験してみましょう。
詳しい手順は記事2以降で解説するので、「こういう順番で見るんだな」という感覚だけ掴んでもらえれば十分です。
Step 1:日足でバイアスを確認
日足チャートを開き、直近の高値・安値の更新パターンを見ます。
高値が切り上がり、安値も切り上がっていれば、上昇トレンド(買いバイアス)と判断します。
この段階では「買い方向しか考えない」と決めてしまいます。
Step 2:15分足で構造と流動性を確認
15分足に切り替え、日足バイアスと同じ方向の MSS や BOS が出ているか確認します。
同時に、直近高値の上に BSL(ストップロスの集中帯)が溜まっていないかを観察します。
Step 3:2分足で PD Array を探す
15分足で構造の方向と流動性の位置が見えたら、2分足に落とし込みます。
FVG(価格の空白)やオーダーブロックが、流動性が掃き出された後の価格帯に残っていれば、それがエントリー候補になります。
Step 4:キルゾーン内かチェック
Step 1〜3 の条件が揃っていても、キルゾーン外であれば見送ります。
「条件が揃った+時間帯が良い」の両方が揃って初めてエントリーを検討する、という規律が再現性を高めます。






3つのよくある誤解
誤解① ICT/SMC は「聖杯(必勝法)」である
ICT/SMC は「こう見ればこう動く」という確率的なフレームワークであり、100% 勝てる手法ではありません。
勝率よりも「同じ基準で同じ判断を繰り返せる再現性」に価値があります。
ICT 本人も「勝率は60%前後で十分。リスクリワードで利益を残す」と述べています。
誤解② 用語を全部覚えないと始められない
ICT/SMC の用語は非常に多いですが、すべてを暗記する必要はありません。
本シリーズのPhase 1(記事1〜4)で扱う市場構造・流動性・PD Array の基本概念を理解すれば、チャートを見る目は大きく変わります。
残りの用語は、必要になったタイミングで覚えれば十分です。
誤解③ 上位足を見なくてもエントリーできる
15分足や2分足だけを見てエントリーポイントを探すのは、地図を持たずに知らない街を歩くようなものです。
日足のバイアスに逆らったエントリーは、短期的に利益が出ても長期的には損失が積み上がりやすくなります。
「まず日足、次に15分、最後に2分」の階層を崩さないことが、ICT の基本原則です。
【注意】
同じチャートを見ても、時間足の選び方やスイングの採用基準が異なれば、構造の見え方は変わります。
本記事の手順は「日足 → 15分足 → 2分足」を前提としており、異なるセットでは結論がずれる可能性があります。
【りづむより】
大事なのは「どのルールで見たか」を固定して記録すること。
ルールが固定されていれば、結果が違ったときに原因を特定できます。
本シリーズの手順をそのまま使ってもいいし、自分の時間足に置き換えてもOK。
ただし、混ぜないことが再現性のカギです。
次に読む記事
全体像を掴んだら、次は3本柱の最初の柱「市場構造(BOS/MSS)」を詳しく見ていきます。
トレンドの方向を判定し、転換の兆しを捉えるための基本手順を学びます。






まとめ
この記事で押さえておきたいポイントを整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ICT と SMC の違い | ICT は教材パッケージ、SMC はコミュニティ由来の共通言語。観察している現象は同じ |
| 3本柱の順番 | 市場構造(方向)→ 流動性(目的地)→ PD Array(エントリー候補) |
| 時間帯の原則 | キルゾーン内で判断する。時間は価格より重要 |
| 時間足セット | 日足(バイアス)→ 15分足(構造の羅針盤)→ 2分足(執行) |
| 用語は後でOK | 全体像と3本柱の関係を先に掴むことが最優先 |
著者の運用環境(参考)
本シリーズで紹介する考え方は、筆者が以下の環境で毎日実践しているものです。 トレード用口座:XM Trading|KIWAMI極口座 GOLD(XAUUSD)のスワップフリー運用に対応。ゼロカットで追証なし。 チャート分析ツール:TradingView 無料プランでも十分に使えます。筆者はPremiumプラン(年払い)を使用。このシリーズの読み順ガイド
迷ったら記事0(HUB):ICT/SMC 解体新書に戻ると、全体の地図が確認できます。
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体系的に整理したノートは note「ICT Compass」でも公開しています。
→ シリーズの続きは記事0(HUB)から確認できます
じっくり体系的に学びたい方は note「ICT Compass」もご覧ください。





